水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 


「おはようございます。
 春宮さま」




いつもの時間に、ノックと共に
部屋に入ってくる今井さん。



「おはよう。

 今井さん、
 今日ねー氷雨が迎えに来てくれるの」



嬉しくなって、
そのメールを見せる私。



「それは宜しゅうございました。

 イヴには1日早いですが、
 氷雨さまがいらっしゃるのは久しぶりですね」

「うん……。
 朝から、凄く凄く幸せなの。

 今井、私……今日、何を着ればいいと思う?

 和花ちゃんと明日の為に買ってきた
 お洋服、今日着てもいいかな?」

「それでは、
 そちらのお洋服をご用意いたします」



そう言うと今井は、
クローゼットの方へと移動していく。



ベッドから車椅子に移動して、
鏡の前でにらめっ子。



まだ上手く出来ないけど、
これも一緒に和花ちゃんとお買い物をしてきた
私のメイク道具。





顔を洗った後、
必死に格闘して何とかメイクを終えた私は
真新しいお洋服に袖を通す。




そうこうしているうちに、
ノックと共に、氷雨が顔を出した。






「妃彩、迎えに来た」




久しぶりに見た氷雨の髪は、
少し伸びてた。




「勉強、無事に終わったの?」

「まぁな。
悪かったな。

 なかなか来れなくてさ」




そう言って私の髪に触れた
氷雨は車椅子から私をヒョイと抱きしめた。



久しぶりのお姫様抱っこ。

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