水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 





桜ノ宮サナトリウムに到着した車。





車椅子を降ろして、
車から私を車椅子へと
お姫様抱っこで移動させた
氷雨は、そのまま……
自分の唇を私の唇に重ねた。










戸惑いの中で、
どうしていいかわからないまま、
ただ瞳を閉じた私。







「また明日」







その言葉を残して、
氷雨は、暗闇の中に消えて行った。






氷雨が唇が触れた、
自分の唇をそっと指先で辿る。










……氷雨……。












突然のキスの余韻に浸りながら
車椅子の車輪を両手でまわして
自室へと戻った。














こんなにも……
誰かを好きになるなんて
思わなかった。



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