水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 




配られていくグラスに、
ワインかシャンパンにも似た飲み物。




「氷雨……お酒?」

「何?
 お前、お酒が良かった?

 お酒飲むなら、二人だけの時にな。
 今日は生憎の、色だけお酒。

 ただの炭酸ジュースだよ」




そうやって悪戯に微笑む。




「妃彩、紹介する。
 オレの大切な仲間(ダチ)。

 紅蓮に名を連ねてる奴らだ。

 
 お前らも、覚えておいてくれ。

 コイツは、春宮妃彩。

 車椅子に乗ってるが、天然なのに気が強い。

 オレの女だよ」






氷雨のお友達の前で、オレの女だって言われて、
それだけで心臓の音がバクバク言い過ぎて
顔が真っ赤になってく気がする。



「おいおいっ。
 だから言ってんだろ。

 これはジュースで
 アルコール入ってねぇんだって。

 顔赤くしてじゃねえって」







そうやって、照れくさそうに
私を弄る氷雨も珍しくて。




私の中の宝物が
また増えていく素敵な時間だった。





紅蓮の皆と、トランプで遊んだり、
大騒ぎした夜、今井さんが運転する車の中で、
氷雨はもう一度呟く。




「明日も逢いに行く。
 今日は悪かったな。

 アイツラがお前に逢わせろって
 煩かったから」




私に逢わせろって言ってくれた
紅蓮の皆。



そして紅蓮の皆に、私をはっきりと
紹介してくれた氷雨。







やっぱり氷雨は凄いね。






いつもキラキラ輝いてる。
宝石みたいで。
 







私は……夏のあの日。






水晶の少年を
初めて好きになった。






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