水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 



だったらアイツは何処に居るんだ?



この近辺の介護施設に
電話で問い合わせをかけても
春宮妃彩は何処にもいない。





だったらアイツは何処に居るんだよ。







思い出すアイツを探し続ける時間。




イライラする感情を発散させるように
教室の黒板をぶん殴る。





ゴンと音と響かせた。






それと同時に鳴り響くチャイム。






「氷雨」


「悪い。
 頭冷やしてくるよ」






そう言って、
フラフラと溜まり場から
移動していく。



こんな状態で、
授業なんて受けれるかよ。







「金城氷雨。

 何処に行く?
 授業は始まるぞ」




講師の声を背中に感じながら
校舎の屋上へと歩いていく。





手慣れた手つきで、
外階段をのぼって
ドアノブに手をかけると、
先約がいるのか、
開錠されているみたいだった。





様子を伺いながら
屋上へと足を踏み入れたオレの目の前には
見慣れた顔。






早城……飛翔……。





近づく足音に気が付いたのか、
ソイツの体がピクリとなって、
オレに視線を向ける。




「悪い。
 邪魔したみたいだな」

「別に」

「何?サボリ?」

「息抜き」

「ってか、
 モノは言いようだよな」



そう言いながら、
ソイツの隣、腰をおろして
青空を見ながら寝転がる。




「氷雨、続いてるのか?」



突然、切り出された言葉に
思わず戸惑いを隠せない。


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