彼女志願!2nd

一人で書ける小説と違って、漫画はたいていアシスタントさんを必要とする。アシスタントさんを使わない漫画家さんだっているけど、たいていは使う。

しかも相瀬先生はかなり画面に書き込む派で、緻密で繊細な絵を描かれるから、締め切り前は大変なスケジュールなんだろうな、というのは容易に想像できる。


相瀬先生に自宅の番号を教えて、地図をファックスしてもらった。

駅についたらタクシーでおいで、だって。おまけに領収書を貰うんだよ、って言われて二度びっくりだ。

出版社に行くのにも領収書なんかもらったことないのに、すごいなぁ……。


そんなことを一人感心しながら、部屋着から一応外に出られる程度の格好に着替えて、メモを片手に家を出る。


先生のスタジオの最寄駅を降り、タクシーを拾い、地図を見せると

「ああ、狐御殿ね」

と言われた。


御殿ってー!

すごい、近所で有名スポットになってるし!


カメラくらい持ってくればよかったかも……。



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