ガラスの靴をもう一度


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「まだ夜は涼しいな」

「本当ね。日中はだいぶ暑いのに…」

仕事が終わって約束通り、川上くんと会社を出る事にした。

まだまだ人の出入りが多いビルの玄関前で、タイミング悪く雅貴と崇史さんに出くわしてしまったのだった。

どうして、川上くんと一緒の時に出会うんだろう。

皮肉過ぎるでしょ。

「社長!お疲れ様です」

ニューヨーク勤務を目指す川上くんにとって、雅貴は憧れの存在。

見かければ、すぐさま声をかけている。

「あ、ああ。お疲れ様」

声に気付いた雅貴は、私たちを見て複雑な顔をしていた。

「社長はまだお仕事なんですか?」

「そうだよ。これから得意先との交渉」

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