ガラスの靴をもう一度


日本人仕様にしているのか、アメリカでもこの家は玄関で靴を脱ぐらしい。

雅貴が2階の部屋に荷物を持って上がるのを見て、私も慌てて靴を脱いでついて行った。

こんなに広いと、家の中で迷子になりそうだわ。

2階だけでも部屋は6部屋。

必要以上に広いのね。

角部屋のドアを開けた雅貴は、私をそこへ招き入れた。

「ここが、一番日当たりも良くて、景色が綺麗だから」

雅貴はカーテンを開けると、陽の光を部屋へ入れた。

眩し過ぎない程度の光。

そしてその光の先には、キングサイズのベッドが置かれている。

やだ…、私ってば何を緊張してるんだろ。

ベッドがあるだけじゃない。

それに、今さらだし…。

だけど、離れていた時間があるからか、変に意識をしてしまっていた。

「うわ~!本当に綺麗な景色。街路樹の緑と空の色が、アメリカって感じがする」

気をそらそうと窓辺に立った時、

「萌、景色じゃなくて、こっちを見ろよ」

後ろから、雅貴が抱きしめてきたのだった。

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