Kiss Kiss Kiss
私は 母と二人暮らし
父親の顔は知らない。


父親がいないことでずいぶん バカにされたけど
私は働き者の母が大好きだった。

そのことで私がくじけると
母が悲しむから 私は負けなかった。

その分思いっきり明るくしてやった。


いつからだろう
私のことをバカにするやつはいなくなった。


私の名前は 安西 夕日 (ユウヒ)


上の学校に行きたかった。
母も行きなさい そう言ってくれたけど
そんな母に 余命六か月が告げられた。


体調が悪かったのに
無理して私のために 働いて
母は 命の期限をつけられてしまった。


就職を希望した時
病室の母は肩を震わせて泣いた。


「ごめんね・・・ごめんね・・・」

母が泣いたのを
私は初めて見た。

「大丈夫だよ。だから少し休んでね。」

そう言ったものの田舎では就職先も見つからなかった。



情けなかった・・・・・。
どんな仕事だってやるつもりだったのに・・・・


母の病状が進んでいく
就職はない・・・・・・・


「親孝行できなくて ごめんね。」

母にそう詫びた。
< 2 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop