Kiss Kiss Kiss
朝陽さんが私がキョトンとしているのに気づいたのか
笑顔で

「台風が来ちゃったよ。」と言った。

「失礼ね 台風だなんて。」

「司に会ってこようっと
あの子またいい男になったでしょ~~」


テンション高くてついていけない。

ズカズカと上り込んで 階段を上って行った。


「台風って……。」私が言うと

「司の母親 俺の元妻だよ。」

「え~~~そうなんですか?」


あの人が司のお母さんで
朝陽さんの奥さんだった人


きっと 母はあの人に負けちゃったんだ

そんな直感がした。


「強そうだもん……。」

「ん?」

思わず呟いた言葉だったけど
朝陽さんが反応したから

「うちの母は真澄さんに負けちゃったんですか?」と言った。

朝陽さんはしばらく無言で

「そんなことないよ。」そう言うと
騒がしくなった二階へ階段を上って行った。


何だか一人取り残されたような
孤独感に襲われる。


「さわんな ババァ!!!」

司の声をかき消す笑い声

「会いたかったよ~~~だ!!!」
時折聞こえる朝陽さんの笑い声に 家族を感じた。
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