金曜日の彼女【完】
奴らは俺のマンションにやって来ると

「来週中にはここを出て、新しいマンションに引っ越してね」

突然、そう言い放った。

当然、納得しない俺に

「誰のお陰でこんなマンションに住めてると思ってるの?」

悪魔はそう言って俺に微笑む。

ああ!そうだよ!お前らのお陰だよ!こんなだだっ広いだけのマンションに住めるのはな!


わかってる…俺は奴らからは逃れられない。

そう…多分一生―――…



それでも俺は逃げたかったんだ―――

だからバイトを必死でやった。

早く金が――ここを出て住めるだけの金が欲しかった。



自由になりたかった。


けれど

「バレそうなのよね?アンタのことが」

それだけの理由。

悪魔たちの自分勝手な理由。

「龍太だって困るでしょ?バレたら」

俺の名前を勝手に呼ぶな!

虫唾が走る!!

「それに―――仁がアンタと会いたいって」

「―――は?」

俺の心とは裏腹にどんどん琴葉から遠ざかっている自分がいた。


< 110 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop