金曜日の彼女【完】
「――…そう…そのSEIKA―――彼女が龍太の母親」

「そんな…だって…彼女、独身ですよ?子供がいる、なんて話も…聞いたことないですよ?」

そんな話、聞いたこともない…。子供がいるとかそんなこと一度だって…。

ましてや龍太みたいな大きな子供がいるなんて…。

「――…まあ、何度かバレそうにはなってるよ。その度にうまく握り潰してたみたいだね」

フッと苦々しそうに口の端を上げた作本さん。

「…本当…なんですか」

ハァと深く溜め息を吐いた。

――…そうか。誰かに似てるって思ったのは…SEIKAだったのか――…


なのに――――なんだろう…心のモヤはまだ晴れない。

なにか…もっと大切なことを忘れているような…。


「―――…どうやらね、俺のこともバレそうなんで、ここに軟禁状態。俺は…別に構わないんだけどね」

窓に手をついて、どこか苦しそうに俯く。

「――…それじゃあ…もしかして…龍太も…?」

「―――――あいつの方がもっと…辛いだろうよ」

ポツリと呟いた。


< 155 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop