金曜日の彼女【完】
龍太も―――

もしかして。

だからなの?誰にもなにも言わずに消えたのは…。



相変わらず俯いたままの作本さん。

金曜日だけしか付き合っていなくて…だけどこの人は龍太の父親だと言う。

「あの…――本当に金曜日だけの付き合いだったんですか?」

俯いていた作本さんが顔を上げ、振り向く。

「――最初はね、そうだったよ。実際、その頃の彼女は毎日違う男を連れてたしね」

―――龍太と同じ―――

「最初…は?」

「そう――――…最初は…」



作本さんは小さく溜め息を吐くと、またソファーに座る。

「ここから先の話は―――実は龍太も知らないことなんだけどね」

そしてまた煙草に火を点ける。

「そ、そんな…じゃあ…私が聞くより…龍太に…」

「うん…もちろん。龍太にも話すつもりだよ」

そう言ってチラリと腕時計に目をやる。

「…そろそろ…かな」

「え?」

そのとき―――キンコン♪

呼び鈴がなる音が聞こえた。

「…来たか」

スッと立ち上がりドアへと歩いていく。



「――――」

「―――…ったく、なんだよ!あのババアのことで話って…別に聞きたくもないんだけ……ど……って…は?琴葉!?――な、なんで?」

バッと作本さんの方を振り返る龍太。

「龍太!?」

驚いている私と龍太を見ながら


「まあ、座れ」

作本さんはそう言ってまたソファーに腰を下ろした―――…。

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