金曜日の彼女【完】
ほぼ、無理やりもう一度ベッドに寝かされる形になった。

「…もう目は覚めたよ」

拗ねたように口を尖らせてみる。

「―――…俺が…ここにいたいんだよ」

ボソッと呟く声。

「―――え?今なんて言ったの?もう一回言って?」

「…もう言わねー」

プイッとそっぽを向きながら、だけどその頬はほんのりと赤みを帯びている。

「クスクス」

思わず笑ってしまった。

「笑うな!!」

そう言いながら私の頬をつねる。

「…いひゃい(痛い)」

けっこう強く引っ張るから思わず涙目になる。

フッとその痛みが消え



「―――…ん、ん」

―――…気がついたら唇を塞がれていた。

「…龍太」

「お前のその顔ヤベーよ」

フッと笑う。


キスをしたあとの龍太はどこか妖艶な雰囲気がある。


とは言ってもそんなにキスをしたことがあるわけではないけれど…。



だって、龍太は

キスを拒んだ。

誰ともキスをしなかった。


―――…できなかった。


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