金曜日の彼女【完】
初恋の子が忘れられない、だから誰ともキスができない、そう聞いていた。



「ねえ、龍太」

「ん?」

「龍太の…初恋の子って…どんな子だったの?」

「――――は!?」

龍太はそのままポカンと口を開けたまま、固まってしまった 。


そんな龍太に対して、首を傾げる私。

ハァー…と深い溜め息を吐いたと思ったら

「…鈍感」

私を見下ろすようにして、呟いた。


「は!?鈍感?私が?」

「さあね」

「えぇ!?」

どういうことなのか、さっぱりわからない私を無視して

ベッド脇の窓を開ける。

「…さみぃー」

ブルッと体を震わせてから、白い息を吐き出す。


空から次から次へと降り続ける雪を見上げながら

「俺の初恋の子は―――…」


手と手を擦り合わせる。

「こんな風に白い雪が俺をもし、隠したとしても、俺を見つけてくれる、そんな子」

窓からゆっくりと私に視線を移す。

「俺がいなくなっても…どこにいようとも…見つけてくれた…」

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