君の為に出来る事
俺に気付いた彼女は、少し気まずそうにもみえたが、それでも堂々と俺を迎え入れた。
「こっち…」なんて少し微笑みながら手を振る彼女なんて、もうしばらく俺は見ていなかった気がする。
彼女の目の前の空いている席に腰を下ろすと、彼女は自分の隣に座っている人に俺を紹介する。
「あのね、かれの――」
今さら『彼』なんて形容詞はいらない。
そして、俺の斜め前に座る男を俺に『お兄ちゃん』と彼女は紹介した。
そんなまどろっこしい事、しなくていいのに…。