愛よりも深すぎて
新しい生活
新年度が始まった。
木崎がいなくなった。

なんだろう、この感じは。
心に穴が開いたような。

俺が木崎を守っていたつもりだったが
木崎の存在は俺を支えていてくれたんだと思う。

俺の秘密を打ち明けたたった一人の人間。
あの子に対しては恋愛とかそういうものではない気がする。
あいつに似ていたから打ち明けたのもあるかもしれないが
それだけじゃなかった気がする。
うまくはいえないが…
あの子とは教師と生徒という繋がりだけではなかった、と思いたい。
少なくとも俺はそう思っている。

卒業式の日になんだか許された気がした。
きっと木崎は重荷になっているだろうけど
俺への気遣いでああいったんだろう。

木崎はどうしているだろう。
きっと高校でも頑張っているのだろうか。

そのうち彼氏でもできるんだろうな。

妙に大人びた子だからきっと歳上の彼氏でも作るに違いない。

なぁ、木崎。
俺は多分お前以外にあの事を打ち明けることは二度とないと思う。
お前にだけ打ち明けた秘密を今後は誰にもいうつもりはない。

なぜ木崎だったのか、
なぜ14歳の教え子のお前に打ち明けたのか
俺にもよくわからない。
でも…一緒に背負ってくれ。
< 45 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop