愛よりも深すぎて
ある日木崎から、電話が来た。

『先生、学校つまんない』
と珍しく愚痴っている。
『朝起きて学校行って授業受けて帰ってきての繰り返しでね~
中学の頃のが刺激的で(笑)楽しかったなぁ』

…確かに木崎がいた頃は毎日が生きた心地がしない学校だった。
木崎が在学中4回も新聞のったし…

今木崎が通っている高校は女子高だし
元々女学校だったところだし
みんなおとなしいのだろう。

『俺もそうだよ。毎日同じことの繰り返しでさ。
他の仕事してたら違ったかもしれないけどさ。
彼氏でも作ったらいいだろ』
『出会いないもん。
そーいやこの前さ、うちの中学の時の友達が暴走族で走ってるのに遭遇して
手振られたら他の中学から来た人にどん引きされたし』
彼氏がいないと聞いて少しホッとした俺がいた。

なんだろう、この気持ち。

『あのさ、先生。』
『ん?』
『先生さ。
これから先彼女できたり結婚したりするでしょ。
そしたらあの話するの?』
俺は少し考えて
『ん~相手によるけど多分言わないと思うよ。』
『えー!あたし彼女だったらいってほしいと思うなぁ』
『知らない方が幸せってこともあるだろ』
『そうかなぁ?私だったら知っておきたいなぁ』
そうか?
知ってしまったお前にはなにも言えないが
俺はズルいから多分お前以外には話さない、と言うことばを飲み込んだ。

他にも色々話したが
『ちゃんと学校行けよ』
といい電話を切った。
頑張れ。
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