流れる星を見つけたら
「見せたかったんだ」
肩に回る手に力が入り、私は甘えて彼の温度に包まれる。

「ギリシャ神話とか、星座にまつわる話が好きだった」
特等席に座り
しんみり彼に伝える。

「占い師っぽいね」
いつもより距離が近いね。
寒い季節ならではかな。

「そーゆーの嫌い?」
彼の吐息まで感じる距離
幸せだから
ずっとこのまま
隣に座っていたい。

「嫌いじゃないけど思いつかなかった。星の大きさとか温度には興味あったけど」

「男子と女子の差だね」

「そうだね……あ、流れ星」

「どこどこ?」
いつも彼だけ先に見つける。
今度こそと思っても
身体能力が悪いのか

また見逃した。

ガッカリ。

「お願い事した?」

「した」

いいなぁ。
残念で身体の力が抜ける。

「お願いは叶いそう?」
彼の顔を見上げると

「今、叶う」そう言って
顔を近づけ

そっと
優しく私の唇に自分の唇を重ねた。


「キスしたかった」

柔らかく言い

また重ね

大人のキスをして
私を味わう。

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