モノクロ
「……いや。あのさ、今日はもういないと思ったし明日持って行こうと思ってたんだけど」
「?」
「これ。探してるんだよな?」
「え、何ですか? これ」
「開けてみて」
「あ、はい……」
先輩がカバンの中から取り出して差し出してきたのは定形サイズの封筒。
何だろう?と思いながら私は先輩の手からそれを受け取り、「開けますね」と断って封筒の中に入っている紙をすっと取り出す。
三つ折にされた紙を開いた時、そこに書かれてあった文字に私は目を疑った。
「……エンジェル、ランド!?」
「あぁ。佐山から聞いたんだ。さきこがツアーパック探してるから、機会があったら取引先とかにも聞いてみて欲しいって」
「え? えっ!?」
「それでいいんだよな? たまたまエンジェルランドと提携してるところと取引があってさ。運よく譲ってもらえたってわけなんだけど。あ、ただ、日程は来月じゃなくて再来月の頭だけど……いいか?」
「も、もちろん大丈夫ですけど……本当に、本当にいいんですか!?」
「うん、もちろん」
「~~! 嬉しいです! これでショウも喜びます……!」
私は紙を手にしたまま、ぷるぷると手を震わせてしまう。
望んでいたものがやっと手に入ったのだ。喜ばずにはいられない。
早くショウにも教えてあげないと!
遅い時間だから、家に帰ったらすぐにメールしておこう。
元々あるチケットも無駄にならなくて済む可能性も高い。
「は~本当に良かったです……! もう、ダメだと思ってたから。あっ、これ、お金ってここに書いてある金額でいいんですよね?」
「うん。金は俺払っといたから、俺に渡してくれればいつでもいいよ」
「あっいえ、いつでも払えるように用意してあるんです! ちょっと待ってください」
「うん」
はぁ~と安堵の息をつきながら封筒の中に紙をしまい、財布を取り出す。
これで何もかもうまくいくと思えば、嬉しさで顔がにやけてしまう。
財布にしまっておいたお金が入ったポチ袋を取り出し、中身を確認する。
封筒に書かれてあった金額が入っていることを確認して財布をバッグの中に収めた時、ぽつりと先輩が問い掛けてきた。