こっち向いて、早瀬先生。

最近は毎朝、菊やら彼岸花の
花が花瓶に入ってわたしの
机におかれている。




わたしが久遠さんを無視して
花瓶を片付けようとすると
久遠さんはわたしの手から
花瓶を素早く奪って




「あなたのために買ったのよ!ほら、あげるっ!!」




ビシャ、ビシャ



激しい水の音がして
水と花が床に散らばる。



その瞬間、ざわめいていた
教室がまるで時間でも止まったかのように静まり返り、わたしと久遠さんは
一斉に視線を浴びた。



久遠さんは、ニヤリと
不気味に笑ってから
わざとその場に倒れ込んだ。


すると、久遠さんの
取り巻きの数人がやってきて
「大丈夫?」「どうしたの?」
などと、わざとらしく心配をして
声をかけてきた。


< 39 / 52 >

この作品をシェア

pagetop