こっち向いて、早瀬先生。
最近は毎朝、菊やら彼岸花の
花が花瓶に入ってわたしの
机におかれている。
わたしが久遠さんを無視して
花瓶を片付けようとすると
久遠さんはわたしの手から
花瓶を素早く奪って
「あなたのために買ったのよ!ほら、あげるっ!!」
ビシャ、ビシャ
激しい水の音がして
水と花が床に散らばる。
その瞬間、ざわめいていた
教室がまるで時間でも止まったかのように静まり返り、わたしと久遠さんは
一斉に視線を浴びた。
久遠さんは、ニヤリと
不気味に笑ってから
わざとその場に倒れ込んだ。
すると、久遠さんの
取り巻きの数人がやってきて
「大丈夫?」「どうしたの?」
などと、わざとらしく心配をして
声をかけてきた。