溺愛トレード
「すみません、もしかして実乃璃がまた何かしでかしましたか?」
璃玖斗くんは聖人君子のようでいて、憂いある声で申し訳なさを全面的に出してくる。
これでまだ高校生だ。
どうしてこの賢さや常識が半分でも実乃璃にいかなかったものか。
「ううん、そうじゃないよ。携帯繋がらないから心配だっただけ。電話ありがとうね」
璃玖斗くんとの通話を終えて、メール画面を開くと「【速報】実乃璃はお父様とモナコでヨットレース観戦中のご様子です!」と徹平にメールしておいた。
本当の本当に迷惑な女だ。
あの涙は、一体なんの涙だっつーの!
車は白亜の門をくぐり抜けて、坂道をあがっていく。
「あの、桐谷さん。ここは?」
「はい、本日は副社長より、加瀬様を瀧澤家本邸にお連れするようにと申し遣っております」
「へ、へえ」
瀧澤家本邸?
それじゃあ、ここは瀧澤さんちっ!?