溺愛トレード

「なおちゃん、カウンターでいいから」


 だけど、女子大生みたいな雰囲気の二人は瀧澤さんを見た途端になおちゃん同様顎が外れたようにぽかんと口を開けて、ただ頷いた。


 それに気がついた瀧澤さんは、ふわりと甘く微笑んで会釈なんてするから彼女たちは握ってた箸をぽろりと落とした。


「はいはい、瀧澤さんもいいから、ここに座りましょう」


 カウンター席のテーブルの下にビニールバッグを押し込むと、瀧澤さんは不思議そうにテーブルの下を覗き込む。

 それから顎に手をそえて納得したように「なるほど」と頷いてから私の隣に肩を並べて座った。


 いくら今日はラフな格好をしているからって、やっぱり瀧澤さんをここに連れて来たのは大間違いだ。

 今や、この狭い店中の人の視線が私たちに、っていうか瀧澤さんに釘付けだ。


 物珍しい常人離れしたオーラというものは、立ち振る舞いだけで全部バレてしまう。それに、このルックスだもん。仕方ないけど、気にしないのは難しい。




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