君に愛の歌を、僕に自虐の歌詞を
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二人の男女がキスしていた。 道のど真ん中で。

若さ故の勢いか知らんが、独り身には辛い。 しかも二人の内一人の、小柄な少女に惹かれる者にとっては、心痛この上ない。


足元からゆっくりと、怒りが蛇のように僕の身体に絡み付く。 しかし、この怒りはあまりにも自分勝手でエゴイズムだ。 今ここでそれを爆発させたって虚しさは埋まらないし、“つぐみちゃん”だって困ってしまうだろうし。 ――――男の方は、別に困ろうが焦ろうが構わないが。


でもあの子には、そのままで居て欲しかった。
誰かに愛されて、幸せそうに笑ってて欲しかった。
僕には上手くできそうに無いから。


夜中の散歩を中断する事に決めた。
クルリと背を向け、なるべく足音をさせないよう気を付けながら、その場から早足で離れた。








でも情けないことに、
僕は、泣きそうだった。









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