My Sweet DRAGON
えと、これは…帰っていい、のか?



閉まりきった自動ドア越しに小さくなっていく龍樹の背中をボーゼンと見つめながら、アタシはひとり心の中で呟いた。



帰るなって言われたけど…これ、は…。



ぐるりと店内を見回せば、いつもより少ないにしても、数人の買い物客の姿と、いそいそとお菓子を出すアルバイトらしき店員達。



このままここにいても邪魔っぽいし、いつ帰ってくるか分かんねーし、



「帰る…」



「あっ、いいっすよー。彼氏サン帰ってくるまでウチにいても」



「は?」



瞬間、声のした方…レジカウンターを見れば、同じ高校生らしき超絶イケメン、もとい、アルバイトらしきイケメン店員の姿。彼がイケメンすぎて…いやいや、あまりに突然のことに一瞬ポカンとしてしまったが、先程の言葉で、龍樹とのやりとりを全部見られていたことに今更ながら気づいてしまったアタシは、じわじわと顔に熱が集中してくるのを感じながら、しどろもどろに答えた。

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