【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中

8.最低の女-飛翔-

突然過呼吸を起こしてぶっ倒れたうちの看護師。


アイツの手を引っ張った女の近くに居た男も、
すぐにアイツに駆け寄ったが、それよりも先に塔矢の傍に辿り着いて処置を始める。

異変に気がついて駆け寄ってきたデパート従業員。


「お客様いかがされましたか?」

「心配ない。
 大事に見えるが過呼吸だ。
 処置は俺がする」

「救急車の手配はしますか?」

「それはいい。
 俺は早城飛翔、責任者にその名を告げろ。

 君はそれだけでいい」


口早に従業員に指示を出して、
そのまま塔矢にも指示を出す。



「無理するな。
 少しずつ息を吐け。
 吸うよりも吐く方が重要だ。

 ほらっ、時間をかけて少しずつ」




まだ必死に空気を吸いこもうと足掻く塔矢に
何度も何度も同じ言葉を繰り返しながら、背中をさすったり叩いたりして
彼女が呼吸をやりやすくなるように手助けしていく。



10秒くらいかけて息がようやく吐けるようになった頃、
彼女は少しずつ呼吸を落ち着かせて、
そのまま何処か安心したように眠りに落ちた。



バイタルだけ確認して、俺も床へと座り込む。
何時の間にか、その場にいた男の姿は消えていた。




「飛翔さま、遅くなりました」



慌てて駆けつけてきた店長と、その後ろに続くのは華月と神威。



「飛翔、その人の容体は?」

「もう落ち着いた。
 暫くベッドで休ませたらいい」

「飛翔、その方の身元は?
 ご家族の方にだけはご連絡を……」

「華月、彼女は塔矢李玖。
 昨日食事をしたうちの看護師だよ」

「まぁ、飛翔……そうだったのね」

「んじゃ、最後まで飛翔が責任持てよ。
 田岡店長、彼女を救護室へ運べ」


神威が命令すると、田岡は連れてきた他の従業員と一緒に
彼女を担架へと移すと、ゆっくりと持ち上げてその場を移動する。

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