【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
そのまま何をどうしていいのかわからなくて、
黙って俯いたままいると、華月さんが柔らかに話しだす。
「飛翔、当主は私が連れて帰ります。
飛翔は、塔矢さんを送って差し上げたらいかがですか?」
えっ?
何てことを……。
華月さん……こんな援護射撃いらないです。
私、どうしていいかわかりません。
緊張するだけで、そっちの方が心臓に悪そうです。
「大丈夫です。
私、車で来てるので自分で帰ります」
「でも……心配だわ。
何だったら塔矢さんは飛翔に送って貰って、
塔矢さんの車は運転代行のものに頼みましょう。
それがいいわ。でしょう飛翔」
あっ、だからそんな援護射撃は……。
先生も無言で黙ってないで大丈夫だって言ってよ。
嫌な汗を一人かいている私。
「飛翔、華月。
ドアの前に田岡とお客さんが来てる」
そう言って姿を見せたのは神威君。
「部屋に通してやってくれ」
「わかった」
そう言って戻って行った神威君はすぐに店長の名札を付けた人と、
私のお母さんを連れて部屋の中へと入ってきた。
「お母さん」
驚いてお母さんを見つめるも、
お母さんは何処かで準備してきたらしい菓子折りと共に
先生と華月さんの方へと近づいていく。
「飛翔さま、遅くなりました。
こちらが彼女、塔矢さんのご家族の方です」
そう先生に店長さんは案内すると、深々とお辞儀をする。
「鷹宮の総師長さんからお電話を頂いて参りました。
この度は、娘がお世話になりました」
そう言ってお母さんは菓子折りを渡しながらお辞儀をする。
「ご丁寧に有難うございます」
お母さんが手渡した菓子折りは、華月さんの手に委ねられる。
「あっ、えっと……母が迎えに来てくれたので、
母と帰ります。
本当にお世話になりました」
私は先にお辞儀をすると、
催促をするようにお母さんの手を取って退室しようとドアの方へと向かう。
お母さんは慌ててお辞儀をして「有難うございました」っと言葉を続けると
そのまま私の後に近づいてきた。
ドアを出る間際、最初に姿を見せてくれた少年は
パソコンを眺めながら難しい顔をしてる。
「あのっ……神威君だったかしら?
有難う」
「別に」
「じゃあっ、お邪魔しました」
短い会話を交わして、私はドアノブを握りしめてくるりとまわした。
「フロアまでご案内します」
デパートの制服を来た女性スタッフさんが近づいてきて深く一礼すると、
私たちは、買い物しなれたフロアーまで送り届けて貰った。
フロアにに出た途端、大きく両腕を伸ばしてノビをする。
「あらあらっ、李玖何やってるの」
「ごめん……。
でも緊張しちゃったんだもの」
「そうね……。
あんな立派な部屋で休ませて貰ってたなんて、びっくりしたわね。
でも早城先生だったかしら?
総師長さんが仰ってた、李玖を助けてくれた先生は隣にいらした方?」
「そう」
イタ飯事件といい、さっきの時間といい……ちゃんと会話をしたいって思うのに、
あの先生との時間は会話が続かなくて沈黙が長くて息がつまりそう。
だけど早城先生が助けてくれたんだ……私のこと。
意外なのに……何故か、先生が助けてくれたことに嬉しさを感じてる私も居て。
私の心のなのに、私自身がわからない。