【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中

11.異変 -李玖-



先月、香穂と再会して以来今日までの1ヶ月、
私の周囲ではおかしなことばかり起きていた。



いつもと変わらぬように、鷹宮には出勤に行っているものの
気味が悪いことばかりおこりつづける。




最初の異変は、香穂と堺先生と再会したあの日から1週間が過ぎた日。
仕事を終えて自宅に帰ったら、大きな荷物が私宛に届いていた。



運送会社から運んできた荷物を先に帰っていたお母さんが受け取ってくれていたのだと聞かされた。




発送されてきたのは大きな乗馬マシーン。




「李玖、こんな大きなもの何処に置くの?」



帰宅して開口一番、お母さんには言われたもののそんな荷物、申し込んだ記憶なんて私にはない。
慌てて発送元に確認すると、一昨日の夜に送り先の名前で申し込みがあったのだと言う返事だった。



今回の送付状にかかれているのは私の名前ってことは、
私が申し込んでいない今、誰かが私に成りすまして申し込んだってこと。


私には必要のないものだからと主張しても、お客様が申し込まれたものなのでと
返品を受け付けて貰えず、勢いに押される形で根負け。


注文しても居ないものが、私の部屋を占拠する。



だけどこうして荷物が送られてくるのは、この乗馬マシーンだけじゃなくて高いものから安いものまで。


基礎化粧品に、サプリメント、どこかの宗教の本など気味悪いものが次から次へと届いた。


その殆どが代引きで、私が不在の間に娘が注文した物だと信じて疑わないお母さんは
お金を支払って荷物を受け取り続けた。



当初は、不審な通販の荷物が届くだけだった。

これだけでも気味が悪くてストレスが溜まって、眠れない日々が続いていたのに
2週間を過ぎた頃からは身に覚えのない、出会い系サイトっぽいところからメールが頻繁に届くようになった。



気味悪さは増すものの無視して、受信したメールは片っ端から削除。
私には関係ない。


メールアドレスを変更することも考えたけど、
変更した後に、全ての登録情報を変更しに行く手間を考えるとめんどくさくて受信拒否をすることくらいしか
対応せぬまま日々を過ごした。



プライベートの不安を抱えたまま、
いつもの様に私は職場へと出勤を続けた。




「おはようございます」



異変が起こり始めた日から、一ヶ月近くが過ぎようとしていた。



「おはよう。
 あらっ、李玖顔色悪いわよ」

「やっぱりバレちゃいますね。
 ファンデーションで頑張っては見たんですけど……」

「どうかした?」


そう言って指導係の殿村さんは私に優しく問う。


「ちょっと夜、いろいろと考えてたら眠れなくて。
 でも仕事は頑張りますから」

「そう?
 けど、無理はしないのよ。
 些細な仕事も命と向き合ってる仕事だから」



そうやって言われたものの、睡眠不足は集中力を奪っていく。
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