【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中

14.気になる存在 -飛翔-


その日、出勤日であるにも関わらず朝から塔矢の姿を病院内で見ることはなかった。

日勤の後のER勤務真っ只中。
急患が途切れた合間をぬって、俺はナースステーションへと足を運んでいた。


「すまない。
 今日、塔矢は来てるか?」


普段は看護師の名前を求めるような発言はせず用件のみを告げて終わる俺が、
特定の看護師の名を口にしたことで、その場に居合わせた看護師が驚いているのが伝わる。


「ねぇ、殿村さんは?」

「今、ICUから一般に戻る患者さんを迎えに行ってます」


そうこうしている間に、塔矢の指導係が姿を見せる。


「早城先生、お待たせしました。
 どうぞ、奥に」


そう言ってステーションの一角にある休憩室に通される。


「珈琲でいいですか?」


そう言って紙コップを用意して機械にポーションをセットして淹れると
俺の前に差し出した。



「早城先生は、李玖の抱えてるものご存知なんですか?」

「詳しくはしらない。
 ただ俺自身の問題と接点があるものと考えている」

「今日は、李玖は無断欠勤です。
 総師長が、李玖のお母さまにも連絡を入れてくださったみたいなんだけど
 昨日は友達とあうという連絡を最後に、帰ってこなかったそうです」



帰ってこなかった?


友達と逢う?
まさか、あのリスカ女から連絡があったとか言わないだろうな。



変な不安が脳裏に浮かぶ。




昨日から連絡がつかない。
そして今日は無断欠勤。



塔矢の身に何か起きているのは確実かも知れないと、
悪い方にばかり、想いが先行してしまう。




「こんにちは。
 早城先生、少しいいかしら?」


そう言って総師長と共に姿を見せたのは、
一度だけあったことのある彼女の母親。



「芙美、あちらが早城先生」


総師長が俺を紹介すると、深々とアイツの母親がお辞儀をする。



「警察には今、届け出を出したそうよ。
 でも行方がわからなくなってまだ1日。

 成人している存在が、1日居なくなったくらいで大騒ぎをって取り合って貰えなかったみたいよ」


総師長の言葉に、怒りしか思いつかない。
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