我妻教育〜番外編〜
「大丈夫だよ、琴湖さん。
怖かったんだね?

でも、うちにくれば、あの人たち(記者や、やじ馬)は来ないよ」


萌花さんは、ギュッと私の手を握った。


小さな、けれど強い手の温もり。


さらに涙が流れた。



そんな私を茶化すことなく、若葉くんは黙って労るように見つめてくれている。


記者や、やじ馬なんて、もうどうだっていい。


そんなことよりも…



私は何て愚かだろうか。


愚かにもほどがある。



前に、綾人さんに言った。


私には、大親友がいないだとか。

友情が希薄だとか、って。


なんて贅沢なことを言っていたのか。



すぐ目の前に、いるじゃないの。

私を助けてくれた人が。



ジャンも、啓さまも、白雪も…。


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