ピエモンテの風に抱かれて

ガッシャーーーン!!!




悲惨な音と共に飛び散るガラスの破片。地面にドクドクと流れ出る赤い液体。



「そんな……」



ガクガクと鳴る膝を抑え切れず、樹里はその場に座り込んでしまった。



「おじぃ…さんの…ワ…ィ…が…」



すると耳の奥底で、




まだ龍への歓声が鳴りやまない中で、





誰かの、誰かの声を捉えていた。






それは優しく落ち着いた、







あの懐かしい……























「大丈夫ですか?」

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