片恋綴
「前のままでも綺麗だったのに」

僕の口からはそんな言葉が零れた。

すると琴子はきょとんとした表情を作る。僕が突然言った言葉の意味がわからなかったのだろう。

「でも、今のが綺麗だ」

僕は本心からそう言った。

彼女を綺麗にしたのは僕であって、僕ではない。

確かに、協力したのは僕だ。でも、彼女は好きな人がいるから、綺麗になった。

そしてそれは、今付き合っている男ではない。

そして、その彼も別に綺麗になった彼女を好きになったわけではない。この間、千歳さんから聞いた話ではその前からだ。

なら、いいんじゃないかな、と思えた。

彼女が彼女の意思で綺麗になり、世界を広げた。

本当なら喜ぶべきことを、僕はいつまでもこどものように駄々を捏ねていただけ。

そこから自分だけ外された気がしていただけ。



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