片恋綴
琴子は別に、自分の世界から僕を外したりしていない。

僕が勝手に外れようとしていただけ。

その証拠に、彼女は変わらずにこうして笑いかけてくれる。

僕が贈ったワンピースも着てくれている。

なんか、突然それだけで十分に思えた。

「また、何か似合いそうな服があったら教えるよ」

僕が言うと琴子はくすりと笑う。

「プレゼントはしてくれないんだ?」

「それは彼氏にしてもらって下さい」

恋人にはなれなくても、幼馴染みという関係がなくなるわけではない。ずっと、このままの関係でいられるのだ。

勝手に、恋人が出来たらこの関係が終わってしまうような気がしていた。

本当に僕は我が儘で、彼女の気持ちなんて何にも知らなかったのだ。



< 142 / 146 >

この作品をシェア

pagetop