あなたのギャップにやられています
ずっと、自分のことを強いなんて勘違いしていた。
全然強くなんてない。
むしろ弱くて、その弱さをカモフラージュするためにワンワン吠えて。
彼の腕の中で、力が抜けていくのを感じる。
ずっと一番近くで仕事をしてきて、彼の作品をリスペクトしてきて……そして、彼の真っ直ぐな姿にいつしか心を奪われていた。
そんな彼が私を包み込んでいる。
「冴子」
彼が私の名を優しく呼んでいる。
ふっと腕の力を抜かれて私が顔を上げると、彼は私を覗き込んで額と額を合わせた。
「大事にする」
「――うん」
私から目を閉じたのは初めてだ。
彼にキスしてほしいと、思ったのは。