あなたのギャップにやられています

その小さな月夜の絵は、いつも私のそばにいた。

仕事で失敗した夜は、それを眺めてため息をついて。
どんなに激しく動揺していても、それを見ると心が穏やかになって。

そして、また明日から頑張ろうと思わせてくれるなにかがあった。



「これ、私もお気に入り。
私、ずっとお前は太陽じゃなくて月だななんて言われていたの。
もちろん、嫌味ね。
自分で輝いている太陽じゃなくて、なにかに照らされなければ輝けない月。
でも、私は月が好きなの」


「どうして?」


「だって、もともとそんな能力がなくても、太陽という別の力を借りて一生懸命私たちに光を届けてくれてるでしょ? 
太陽が天才なら、月は秀才。そんな気がして」



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