あなたのギャップにやられています

「雅斗、ティッシュ取ってよ!」


いないとわかっているのに、わがままが言いたくて。


「私だって、大好き、なんだもん」


それからは、訳もわからず涙を流した。


真っ暗な部屋にひとり。

動く気力すらなくて、裸のままで布団にくるまって、ぼーっとこれからを考える。


わかってる。
雅斗が本気であんな言葉を口にしたわけじゃないことなんて。

きっとすごく混乱しているのだ。
ずっと憧れてきた絵の世界への扉が開こうとしているのに、他にも欲しいものができてしまった。
どちらかを選ばなくては……と言われて選べなくて。

どちらを選んでも後悔するんじゃないかって、きっと思っている。


もしも私がここにいて欲しいと言ったなら、彼は喜んでそうしてくれるだろう。

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