あなたのギャップにやられています
励ましのつもりでそう言っただけで、別にあなたが勝ち組じゃなくちゃとか、お金持ちじゃなくちゃとか、そんなこと一度だって……。
「はぁ。ごめん。俺、頭冷やすわ」
そう言った雅斗は、そのまま部屋を出て行ってしまった。
しばらくして玄関のドアが閉まる音までして――。
「バカ」
小声でそうつぶやくと涙が出てくる。
雅斗とこうやってぶつかったのは、初めてだ。
「バカ! 私だって……」
手当たり次第に枕を投げると、それが壁にぶつかって落ちた瞬間、ドバッと涙が溢れてきて止まらなくなった。
こんなに取り乱した雅斗を初めて見た。
仕事で行き詰ったり、トラブルが発生しても、こんなに混乱している姿は一度だって見たことがない。
それに、彼と付き合うようになって、プライベートを知っても、こんなに頼もしい男なんだと思うことは度々あったけれど、ここまで崩れた雅斗は見たことがない。