あなたのギャップにやられています

『冴子、木崎がやったぞ。新人賞取ったんだ』


「もしもし」という言葉すらなく聞こえてきたのは、部長の弾んだ声だった。


「新人賞?」

『あぁ、今回の新人賞は、一流芸術家への登竜門と言われているものなんだ。
その絵画部門新人賞。
日本人で初受賞だ。木崎、頑張ったな』


あまりに突然の報告で、あっけにとられて部長の言葉を聞いているばかりで、なにも言えない。


『冴子、聞いてるか?』

「聞いて、ます」


やっとのことで振り絞った声が震えていて、電話越しに部長が「おめでとう」と言ってくれた。

私のことじゃないのに、『おめでとう』の言葉がすごくうれしい。
まるで、雅斗と一緒にした仕事が大ヒットした時のように。

< 566 / 672 >

この作品をシェア

pagetop