あなたのギャップにやられています

「これ、見たか?」


部長が会社近くのカフェレストランで、ランチを頬張りながら私にとある雑誌を差し出した。


「いえ……」

「そこの付箋が貼ってあるところ、帰ってから読んでみな。これ冴子にやるから」

「ありがとうございます」


デザイン部で定期購読していた日本の美術雑誌だ。
業界の人は大体目を通すと言われている。
デザイン部にいたころは、ちゃんと目を通していたのに、もうすっかり読まなくなってしまった。

もしかしたら、イーイマージュが取り上げられたのかな? なんて私はバッグにしまった。


「あと、お前の上司だった俺がこんなことを言うのは、多分タブーなんだが……」

「なんでしょう」

「冴子、会社辞める気ないか?」

「は?」


突然の提案に、思わずハンバーグの刺さったフォークを落としそうになる。

せめてライスの時にして。
ハンバーグを落としたら、私……泣くから。

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