あなたのギャップにやられています
「あー、もうわかんない」
こんなにいい話、もしかしたらもう二度とやってこないかもしれない。
それでも、ただ素直に喜んでいるわけではないのは、やっぱり雅斗のことが気になるからだ。
「あんた、私の監視役ね」
部屋に君臨する私の裸体は、じっと私を見つめているようだ。
昔の自分に監視されているなんて、なんだかおかしいけれど。
「いーだ」
思いっきり変顔で絵を挑発してみたけれど、なにか起こるわけがない。
マンションに戻ってこの絵の前に座ったときから、多分私は気がついていたんだ。
自分の気持ちがどこにあるかを。
次の日、仕事が溜まっているのを思い出して早めに画廊に向かうと、もう堀川さんが出勤していた。
「おはようございます」
「木崎さん、おはよう。
早速だけど仕事の依頼が入ってね。
個展の依頼なんだけど、受けようと思うんだ」
いつもと全く変わらない様子の堀川さんに安心しながら、私は仕事に取り掛かった。