あなたのギャップにやられています
「冴子さん、もう遅いですから送ります」
時計を見ると、もう二十三時を回っていた。こんなに遅くなったのは初めてだ。
「あら、そう? 悪いわね」
といっても、内勤の多い私たちはいつも電車通勤だ。
彼は同じ路線に乗るものの、私より三つ前の駅で降りる。
だから本当はそんなことしてくれなくてもいいんだけど、私にちょっとした世話を焼くことで彼なりに感謝を表しているのだと気が付いてからは、彼がしてくれることに素直に甘えることにしている。
ちょっと女王様気分だし。
根を詰めて仕事をしすぎたせいか、少し気だるい。
それなのにもう終電間近な車内は、金曜だからかいつもより混んでいる。
私がドアの方を向いて立つと、木崎君もその後ろに立った。
そして、電車は発車した。