あなたのギャップにやられています

木崎君と一緒にいると、彼氏が欲しいなんて少しも思わなかった。
それはきっと、彼との時間が楽しかったからだ。


どんなに残業が続いても、食事をとる暇がなくても、木崎君と一緒になにかを作り上げることに誇りを持っていて、なにより自分が楽しんでいた。



彼の描く絵が好きだった。
そして、彼の真剣な眼差しも、壊れてしまいそうな繊細な性格も。

彼は周りの人のちょっとした気持ちの変化にすぐに気がつく人だ。
そして、いつも誰かを気遣って、誰かのために惜しみなく手を貸して。


それは先にデザインを商品化させた同期にも同じで。
木崎君のことをどこかでバカにしている奴なんかに手を貸さなくたってってモヤモヤしていた頃もあったくらいだ。


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