あなたのギャップにやられています

「いや、俺は好きだよ。おいしそうに残さす食べる子。
冴子、会社で俺の仕事が終わるのをいつも待っててくれるだろ?」

「えっ、ううん、そんなことない」


気が付いていたのか、この男。
さりげなくそうしているつもりだったのに。
鋭すぎるよ。


「いつも、ありがとな」

「い、いえ。こちらこそ」


会社ではなにかあると『冴子さん、ありがとうございます』なんて思いっきり敬語で言う彼が、『ありがとな』なんてちょっと男を感じる言い方で、それでも照れながら言う姿がたまらなく新鮮だ。

こっちがドキドキしちゃうから。


だけどさ、ものすごく調子狂うよ。


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