あなたのギャップにやられています

「冴子のあの一言で俺は続けることができた。
俺さ、美大なんて出てるけど、実はなんにも認められたことなくて。
賞をもらったのだって小学生の時位でさ」


驚いた。これほどのものを描けるのに、どうして?


「絵の世界って、これが正しいってのがないだろう?
構図やら筆使いやら、技術をいくら覚えても、ダメなもんはダメなわけ。

それで、なにひとつ認められなくて、もうダメだって思い込んでた。

実際でっかい賞でも取らなけりゃ、好きな絵で飯が食えるわけじゃないし、もう潮時だって」


うーん。
木崎君の言葉はとても現実的だ。
どんなに好きでもそれで稼げなければ生活できないし。

だったら趣味で描けばいいじゃんって思うけど、その道を極めてきた人にとっては辛いことなのかもしれない。



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