ブラッディ トゥ ナイト

隣に居るのだから思い浮かべる必要はない。

ヒツキはワインを呑み干し、空になったグラスをアロマキャンドルの横に置いた。

あのアロマキャンドルやヒツキの香水には催眠薬が含まれていて、今も俺を操ろうと薬が漂っているはずだ。

今回、俺の意識が体から隔離されないのは耐性が付いたからではなく、体の表面に結界を張ってもらっているからだ。

「歌うのは良いけど、アクセサリーは付けたくない」

「どうして?似合ってるじゃん」

「仕事で付けてるけど、好きじゃないのよ、ジャラジャラしてるの」

俺にはその言葉が意外だった。

外見からして、派手で華やかな物が好きなのだと思っていた。

「私、シンプルな物が好きなの」

< 310 / 379 >

この作品をシェア

pagetop