Chain~この想いは誰かに繋がっている~
上映終了後、小さなシアターから人が出てくるのは、比較的早い。

人の波が消えたのを見計らって、私はそのシアターに入った。


あ~あ。

今日もたくさんゴミが置いてあるよ。

まったく。

自分が出したゴミくらい、自分で持って帰ればいいのに。

次から次へと見つけるゴミに、私は気を取られていたんだと思う。


突然現れた靴に、私の怒りはピークに達した。

「もう!なんで靴まで!?」

怒りに任せて靴を持ち上げようと思ったら、意外に重い。

「えっ?」

見上げた私の目に飛び込んできたのは、驚いた顔のあの人だった。


「え、映梨子ちゃん?」

「お、お、お客様!!」

私は一歩も二歩も、いや、三歩も後ろに下がりながら、今の状況を把握しようと努力した。

うそっ!?

まだ残ってたの!?!?


「ごめん。掃除の邪魔だね。今、帰るよ。」

立ち上がったあの人の顔をよく見ると、涙の痕があった。
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