Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「何かあったんですか?」

何で泣いているのか、わからなかった。

だって観てた映画、コメディだし。


「別に。何でもないよ。」

「そんな事ありません。」

あの人は、立ち上がって歩こうとした時に、その動きを止めた。

「どうして?」

「だってお客様、泣いています。」

名前も知らないあの人を、私は本気で心配だ。


「あのさ、映梨子ちゃん。」

「はい。」

「映梨子ちゃんは、地元どこ?」

「地元?ここです。」

意味のないような質問に、私は戸惑いを隠せなかった。


「じゃあ、突然田舎に帰るようなこともないんだ。」

「えっ?」

田舎に帰る? なにそれ?

「えっと……お客さ……」

「俺の知り合い、田舎に帰ったんだよね。」


突然言い出した身の回りの話。

あまりにも突然過ぎて、私は今の時点でついていけていない。

「俺、その子の力になってあげられなかった。」
< 110 / 125 >

この作品をシェア

pagetop