Chain~この想いは誰かに繋がっている~
私は小さく、頷いた。


「信じろって。夏目のこと、好きだった俺が言うんだから、間違いないって。」

「えっ?」

私はその場で、立ち上がった。

「ウソ……」

「本当本当。しかもかなり本気で。」

言葉を失って、立ちつくす私を見ずに、周平は背中を向けてしまった。

「また明日な。美波ちゃん。」

そして周平は、暗い廊下へと、消えて行った。


「何よ、それ……」

私は、クラクラと目の前の世界が周り、一気に倒れそうになった。

だって、何?

周平が、私の事を本気だった?

「じゃあ、なんで……言ってくれなかったのよぉ……」


私も好きだった。

私も本気だった。


その答えを聞かずに、周平は行ってしまった。
< 11 / 125 >

この作品をシェア

pagetop