Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「今日はどんな物をお探しですか?」

「う~ん…なんだろねぇ。」

「えっ?」

やけに他人事のような返事。

「なんかさ、昔の恋愛映画が観たいって、言いだしてさ。」


誰が?

そう思った時だ


「ここにいたの?剛。」

一人の女性が、小宮山さんに近づいてきた。

小宮さんと同じ年代くらいの人。

でも彼女は、スーツに肌ざわりが良さそうなコート、左手には高そうな時計をしていた。

マニキュアだって、さりげないくらいの透明なピンク。

一目でキャリアウーマンだって、わかった。


「あった?お目当てのDVD。」

「うん、あったわ。」

二人が見つめ合った瞬間、私にはわかった。


この二人は、付き合っているんだって。


「ありがとう、探すまでもなかったみたいだ。」

振り向いた小宮山さんは、いつもと違う優しい眼差しをしていた。

「この店員さんに、聞いてたの?」

「うん。いつもだよ。」
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