Scarly Rules

絡まる絹糸

〜恭平side〜




打ち合わせの後

帰り支度を済ませたメンバーが続々とスタジオを後にする中

最後に残ったマサと俺は タクシーを呼んで一緒にマサのマンションへ。



「おじゃましま…つってもお前だけか。マサん家だもんな。」

苦笑いをしながら靴を脱いでいると

「コーヒー?紅茶?」

先に上がってたマサが、慣れた様子で俺に尋ねる。

「コーヒー。いつものな。」

「はいはい。シロップ多めのミルク無し だろ?分かってるって。」

マサは記憶力が良くて

俺を含めバンド仲間全員はもちろん、ゆかの好き嫌いまで熟知してくれてたりするから いろんな場面で役に立つ。


「おぅ!…で、話ってのは何なんだ?一応忙しいからね。俺も。」

悪戯っぽくそう聞くと

二人分のコーヒーを運んで来たマサは
少し困ったような顔をして俯いた。

「ん?」
向かいから覗き込んでみると
なんとなく顔が赤いような気もする。


「熱でもあんのか?顔赤いぞ?」

そう言って何気なく額に手を触れれば

「…ッ!」
驚いたように顔を上げ、目を泳がせたかと思えば すぐにまた俯いた。


そうか…。

それを見て俺は感ずいた。

信じられないが コイツはもしかして…。


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