Scarly Rules

自己への問い


「さてさて可愛いプリンセス、それじゃあショーを始めようか。ワクワクするねぇ。いや、ゾクゾク の方が適切かなぁ…。ま、しっかりと目に焼き付けてよね。」


楽しげな声音。



状況を理解しつつも
私は疑問に思い 口を挟んだ。

「恭平、なんで…マサさんなの?」

ゆかの静かな問いかけに
目を合わせたままの恭平は。

「あぁ愛しいお姫様、それは貴女のためでございますよ。勿論です。」

わざとらしい口調に顔をしかめると

恭平はすかさず笑った。


「なーんてな。面白くないか? それならそうだね…マサは君を誘惑したから だったらまとも?」




「あんたの理屈はいつだってまともじゃないよ。」



「…ほぅほぅ。ならば聞いてみようかな。お前の思う理屈とはなんだ? 言ってみなよ。俺がどうしてこんなことをしていると思う?」

睨みつける私を試すかのように
恭平の眼が私を射抜く。



「あ、あんたは…。」



言いかけてから口を噤む。


なんでだろ…。

変だ。どうして?
言葉がなぜか見つからない。

卑劣なだけのこの男。

ドSで俺様で変態で。

私の自由を奪って 酷いことばっかして。



でも 私には彼がそうする『理由』が分からない。

分かってるつもりだったけど。

嘘でしょ?

私ときたら…考えたこともなかったんだ。


この人の考えを 私は全く知らなかった。



「ふっ…。言えないか。いや、所詮お前には分からないことなのか?」







恭平は そんな私を戸惑うことなく嘲笑い、その視線をマサさんの方へと戻した。
< 41 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop